従来の運動イメージ療法では、患者様・療法士それぞれのコミュニケーションスキルや相性などによって成果が変わってしまうのがデメリットだった
竹林先生:運動イメージ療法には、「患者様がどういったイメージを持てば良いのかわからない」「効果が患者様の知識量・没入力に依存してしまう」といった欠点がありました。
また、患者様が描いたものと同じイメージを、療法士も共有した上で適切な声がけを行う必要があるのに、そこが患者様と療法士の相性に依存してしまうのも難点でした。
イメージの共有が上手くいくかどうかは、療法士の力量によっても異なります。
ただ、このように、運動イメージ療法では、療法士に治療のスキルだけでなく高度なコミュニケーションスキルが求められるため、研鑽が難しいと感じています。
竹林先生:そうですね、スキルの差は激しいと思います。
イメージを合わせるというのは、世界観を合わせるということなので、なかなか難しいものがあるでしょう。
形のないものを、あるように脳の中で実体化するわけなので、そこに寄り添える何かしらのアンカーがあるということは重要です。
その点、「LIFESCAPES BMI」を活用すれば脳波を可視化して共有できる、つまり、感覚を共有できるので、再現性が圧倒的に違うと感じています。
「LIFESCAPES BMI」があれば、療法士が提示したイメージが患者様に上手く伝わり、患者様の脳内でイメージできているかどうかが、ある程度、フィードバックできるんです。
また、運動イメージ療法の場合は、たとえば、療法士が患者様と一緒に手指をグッと伸展させた後で、「引っかかりが少ない」「上手にできた」など、アセスメント(評価)をしていかないとなりません。
つまり、トレーニングの後で、どういった動きで効果が出やすいかなどを話し合ってすり合わせ、結論づけなければならないわけです。
「LIFESCAPES BMI」があれば、そのコミュニケーションが不要になります。
竹林先生:私は、運動イメージ療法とBMIトレーニングは、ほぼ同じものとして認識しています。
その中で、「LIFESCAPES BMI」を使った方が従来の運動イメージ療法よりも高い確率で成功できるし、深度も深いと感じています。
深度の深さについては、論文にも記述がありますし、ほかの療法士のトレーニングを見ていると実感します。
また、運動イメージ療法単体よりも、BMIを使った方が、効能も人によっては強く出ていると思います。
竹林先生:そうですね。何らかの機器がないと、実際にイメージできているかどうかを判断できないので、そう言えると思います。
上手にできる患者様は没入してイメージできますが、そうでない方の場合は眠ってしまうこともあるくらいですから。
特に、機器がなく「できているのかいないのかわからない状態」のトレーニングでは、後半になると患者様の集中力が明らかに切れているのが伝わってきます。
なかには、「こんなことをして意味があるのか?何のまじないだ?」といった疑問を口にする患者様もいらっしゃるほどです。
そういった意味でも、機器を使ってモニタリングし、療法士がバイオフィードバックとして認識できることの意義は大きいです。
BMIトレーニングの効果がで出にくい原因の分析や、さまざまな治療の知識と組み合わせて「LIFESCAPES BMI」を活用していくのが療法士の役割
竹林先生:2つあると考えています。
1つ目は、「LIFESCAPES BMI」で効果の出にくい患者様に対して、なぜ上手くいかないのかをアセスメントし、治療に乗せる役割があると思います。
「LIFESCAPES BMI」は、センサによって脳波を取得し、一定の手続きがあった時に、フィードバックを返してくれる機器だと認識しています。
確実で再現性があり、運動のイメージを可視化してくれる。また、療法士がいなくてもトレーニングできる状況を作れる点がメリットでしょう。
一方で、療法士としては、たとえば、お手玉やブロックを使ったトレーニングと同じように、その患者様の病態を解釈し、機器が十分に使えなかった際に何が足りなかったのかを分析し、物理療法を使うなり、徒手のようなアプローチを使うなりして、コンディショニングを上げることが重要です。
アライメント整えたり、痙縮を落としたりするだけで、運動イメージはかなり変わってきます。
このように、BMIそのものでのトレーニング以外に、練習量としての時間を確保することも必要だと考えています。
そして、再度トライして、BMIの治療に乗せることが療法士の役割だと考えています。
2つ目ですが、まず私は「LIFESCAPES BMI」を、脳のコンディショニング機器のような位置付けで捉えています。
たとえば、重度の患者様では随意運動の前の状態を作ることができる、軽度の患者様ではご自身の身体に対する認識を上げてくれたり、その後の学習を促通してくれたりする道具だと考えています。
この特徴を踏まえた上で、「LIFESCAPES BMI」によって引き出され、適正化された上肢機能を生活の中へどう落とし込むか、その出口戦略を考えるのも療法士の仕事なので、療法士としてのほかの知識と組み合わせながら、機器を使っていくことが大切だと考えています。
逆に、良くないのは、上肢機能の練習としてBMIトレーニングだけをして終わるというパターン。
たしかに、「LIFESCAPES BMI」を設置していることを理由に来院される患者様もいらっしゃいます。
ただ、BMIを使ったリハビリだけをすれば良くなるというものではありません。
これをリハビリテーションに昇華するためには、療法士が「LIFESCAPES BMIで、このアウトカムが変わるから、生活行為に関わるアウトカムを上げるために、どういう手法を併せて提供できるか」を考える必要があると思います。
そのためには、療法士の中に、「どのアプローチがどのアウトカムを変えられるのか」という知識を蓄えておく必要があります。
足りないアプローチや、出口になる生活行為には何が必要なのかを判断できるだけの知識を揃えてもらいたいと思いますね。
身体特異性の注意や失行がある患者様はノンレスポンダーとなりやすいが、まったく改善しないというわけではない
竹林先生:肌感覚としては、イメージすることが難しい患者様の場合は、ノンレスポンダーになりやすいというのがありますね。
また、身体特異性の注意といったものや、運動自体のやり方がわからないという失行など、一見、運動障害のように見えても運動麻痺とは異なる障害が色濃い患者様の場合は、BMIのリハビリに乗せることが難しいと感じています。
ただ、身体特異性の注意に関しては、BMIが改善してくれるという印象もあるので、身体特異性の注意がない患者様と比較すればレスポンスは低いものの、まったく改善しないというわけではないんです。
先ほどの話とも重なりますが、これも病態解釈で、どのような病態の患者様にBMIを使用するとネックになって使えないのかを突き詰めることが大切だと考えています。
イメージに関する話なので、内在的なものを言語化する必要がある部分では、難易度が高いのですが、そこを突き詰めながら、前処置なのか環境改善なのか、上手く改善の措置を行う必要があると思います。
LIFESCAPES BMIが世のなかに広まっていくと、運動イメージ療法ができる療法士がいなくなってしまいそうです。
そうだとしても、LIFESCAPES BMIは患者様には有益な機器だと思っています。
大阪公立大学医学部リハビリテーション学科の各種取り組みについては下記からご確認ください。
大阪公立大学医学部リハビリテーション学科 HP
https://www.omu.ac.jp/reha/graduate/about/
