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2022/11/14
リハビリテーションと私 正門由久( Chief Medical Officer )

医師として目指してきたこと

正門由久( CMO : 最高医療責任者 )

 

医師になって40年。本当にたくさんの患者さんやスタッフの方と一緒に仕事をしてきました。その中で身体の障がいを良くするだけではなく、それぞれの生活に根ざした治療、リハビリテーションを心掛けてきたつもりです。誰も、脳卒中になりたかったわけでも、脊髄損傷を負いたかったわけでも、障がいを持って生まれたかったわけでもありません。たとえ障がいがあったとしても、優秀な人や魅力溢れる人にたくさん出会ってきました。そういう人が、少しでも手を使えるようになって、身の回りのことができるようになること。今までとは違う形でも社会復帰できるように支援していくこと。リハビリテーションは、ただ身体的な制約を軽減するだけではなくて、日々の生活を良くすること、社会参加への制約をなくしていくことです。これを使命として、行ってきました。これが私が生きている理由と言っても過言ではありません。

 

そして医療はやはり人の命に関わることです。科学的基盤、根拠に立ったリハビリテーション医学の実践が必要です。そのための研究、診療、教育をこれからも実践していきたいと思っています。

 

高校1年生の時、僕は結核になって入院をしていた時期がありました。その時お医者さんはとてもかっこよく見えたのが、医師を目指したきっかけです。それでも僕は医師が自分にとっての天職なのか、悩んだ時期もありました。大学4年生の頃、病院の中でケースワーカーと知り合いになって、ケースワーカー室で研修みたいなことをさせていただくようになりました。患者さんご本人との話はもちろんのこと、その患者さんを支えるご家族との話も、一緒に聞かせていただきました。そのうち、脳卒中、脊髄損傷の患者さんと遠足などにも行くようにもなりました。また自宅に訪問をしてお話を伺ったり、日々の生活を拝見する機会にも恵まれました。もともと、神経系に興味があったこともありますが、こういう人たちの生活を変えたい、支えたいという思いでリハビリテーション科を選択しました。当時、リハビリテーション科は決して大所帯ではありませんでしたが、頼もしい先輩方がたくさんいらっしゃいましたので、このような方々の近くで働きたいと思いました。

 

2001年コペンハーゲン

Copenhagen大学Panum研究所医学生理学留学中。

寒くてお金もなくて大変でしたが貴重な経験でした。

 

 

 

これからの医療環境

 

日本の少子高齢化は世界でもトップレベルに進んでいます。これに伴って日本の医療保険制度、介護保険制度は必ず変化していくでしょう。今後も、国民皆保険が成立し続けることができるのか、懐疑的に見る意見もあります。先ほどリハビリテーションは、生活に密着した対応が必要だというお話をさせていただきましたが、患者さんのみならず、生活を共にするご家族も、身体的、時間的負担に加え、状況次第では金銭的にも負担を背負う可能性もあります。

 

このような大きな変化の中で、リハビリテーション科はこれから患者さんとそのご家族のために何ができるのか、よく考え、検討し、そして対策することが求められます。本当に難しい状況に直面すると思いますが、明るい兆しと思っていることが2つあります。

 

一つ目は、優秀なPT、OT、STが増えていることです。先日も、神経理学療法学会で成長を感じることができました。PhDを取得してサイエンスの視点を持ち合わせながら、議論を活性化させてくれている人が多くなっています。彼らがリハビリテーション医学にもたらしてくれる変化を楽しみにしています。

 

もう一つはリハビリテーションとテクノロジーの親和性の高さです。以前よりリハビリテーションは、体が不自由な人に対してテクノロジーがその機能を補うという関係性があります。例えばエレベーター。駅にエレベーターが出来るまで車椅子の人は電車に乗るにも不自由がありました。電動車椅子もテクノロジー活用の例です。最近の電動車椅子の進化は素晴らしいですね。カッコよく、誰でも使えるようになってきました。僕は1日中車椅子で過ごしたことがありましたが、本当に大変です。次の日起き上がれないくらいの腕の疲れと筋肉痛でした。

 

テクノロジーの力を使うことは、継続的に生活レベルを向上させていくためには必要不可欠と思っています。たとえば工学的な発想を持つ人と、リハビリの現場が近くなって、いいものが医療の現場で使えるようにしていくこと。テクノロジー、そしてサイエンスが医療や人のためになることを医療者・患者さんに伝えていくことを、これからの難しい医療環境を乗り切るためにも僕も出来る限りのことをするつもりです。

 

 

LIFESCAPES入社の経緯

 

牛場先生とはもう20年以上の付き合いになります。

 

リハビリテーションとテクノロジーの連携の良さは先に述べたとおりですが、これからもどんどん進化して、医師や患者さんを助けてくれると思っています。

 

脳卒中の患者さんにとって、BMIは障がいの根幹の部分を治そうとする究極的なテクノロジーの活用だと思います。うまく機能しない部分を補うという考え方からすると、ちょっと考えられないくらい常識外れだとも認識されていることでしょう。でも脳卒中によって途切れてしまったコネクションを取り戻せる可能性があります。繋がりを取り戻せれば、たとえばiPS細胞で再生された細胞が以前できていた“手”のスムースな動きを再びもたらしてくれるでしょう。そこにもテクノロジーとリハビリテーション、そしてBMIは必ず恩恵を届けます。

 

BMIが医療の現場で新しい常識となれるよう、医療界に広げ、その先の患者さんに届くことを目指して日々活動をしています。BMIにはまだ医療界にほんの少ししか土地がありません。まずは新しく土地を開墾・開拓し、医療に新しい “家”を建てていくことをこの会社の仲間と一緒にしていきます。

 

この会社には、知と実践ができる仲間が集まっています。そこに大きな魅力があります。力を合わせて最強の組織になれます。そうだからこそ、挑戦できるのです。

 

 

私のノート

 

私は科学的基盤に立ったリハビリテーション医学・医療の実践をしたいと常々思ってきました。そのために、ふと診療の中で湧いた疑問をキャンパスノートに書き留めることをずっと続けてきました。なんで、手は動くんだろう。どうしたらスムーズに動くようになるのだろう。本当にたくさんの疑問を書き連ね、今では32冊目となりました。

 

今はインターネットがあるので大分楽になりました。Dropboxにその疑問に関連する文献と研究内容と方法、つまり研究計画を入れています。調べてもわからないときは、大学院生、後輩の先生方のお力を借りたりすることもあります。来週までの宿題ね、と(笑)。知ってそうで曖昧なことを問いただすことで、より理解を深めていくことができると思います。

 

このノートは私の診療での疑問点や好奇心が出発点になっていますが、最終的には患者さんの疾病、障がいをよくしたいとの思いでやってきました。診療する上では、優先順位、実現可能性の上で取捨選択をしていくが求められます。その判断を支えるしっかりした根拠のあるデータが大事です。これからもこのノートを書き続けていくでしょう。どうしたら手が動くのか、の作戦を考えることが楽しいです。これからも患者さんのために、患者さんの社会参加へ制約をなくせるように頑張っていきます。

 

 

 

モットー

 

仕事を成功するためには、すべてのことを捧げる。目標のためになんでもする。

準備を怠らず。常に備える。

しかし、みんなと力を合わせてしないと、物事はうまくはいきません。

協調してやっていくことがとても大事です。

 

 

趣味・特技

 

趣味は、勉強すること。カッコつけているわけではなく、本当に他には興味がありません。興味があるのは、人がどのように考えて、どのように動くのか?どうして手はこんなにスムーズに動くのか?ということ。これからも考えていきたいと思っています。

 

特技は、毎日コーラを1500cc飲むことです(?)。

 

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